成人の8割以上が罹っているとされる歯周病。それが認知症と深くかかわっている可能性が指摘されています。
今までにも、アルツハイマー型認知症を発症している方の脳から、歯周病の菌が発見されるなど、関係が見られるのではとの説は唱えられてきました。17年の5月、とある研究チームが、歯周病とアルツハイマー型認知症の関係を表す新たな動物実験の結果を公表しています。認知症のなかでも最も多いとされるアルツハイマー型認知症。
その原因は不明ですが、体内で発生する酸化ストレスによって、細胞や組織が悪影響を受けるのではないかという仮説もあります。その研究チームでは、歯周病の要因となる菌によって作られる酪酸を、健康な状態のラットの歯肉へと注射。そして6時間後にまた調べる、という実験を行いました。
すると注射から6時間が経過した時、脳内の各部位では酸化によるストレスが上昇しました。中でも記憶を司っている「海馬」でのストレスが顕著だったのです。
加えて、アルツハイマー型認知症を発症している状態の脳神経細胞内にて増えやすいタウ(たんぱく質の一種)も、通常の健康なラットと比較すると48%増加していました。このラットの歯肉へ注射した酪酸という物質は、歯周病の方の歯周ポケットにて通常の10~20倍も発見されています。
健康ならば歯周ポケットに留まっていても、もし歯肉の炎症等があると組織より血管に入り込み全身をめぐります。それが長期間続くと、脳に悪影響を及ぼすという可能性は十分に考えられるでしょう。
たかが歯周病と侮ってはならないという事です。出来るだけ早くに発見し治療する事が非常に大切です。